3.今求められるトップダウン思考

よく「何故を5回以上繰り返せ!」といった指示を耳にします。確かに問題の本質にアプローチするために一見良さそうですが、この何故何故型のアプローチには大きな落とし穴があります。完全な問題形成を行うことが難しいのです。何故の回答が処理的にならざるをえず、ステレオタイプに捉えるため、あるレベル(選択枝ノード)で選択された対応以外は議論されることがありません。選択された時点で他は切り捨てられるため、切り捨てられた部分に問題の本質と関連する事項があっても見捨てられることになります。
これは全体観をもって問題形成する解決型に発生することはまずありません。選択されない部分に先の「リスク-X」が潜んでいればどうなるのでしょう?サブマリンリスクではありませんが、時系列にリスクの本質が顔を出すことになります。

この何故何故型の選択方式ではなく、全体の状況をシステミックに俯瞰し、個々のノード単位に100%の課題を洗い出す思考方法を「トップダウン思考」と位置付けています。間違っても組織のトップがトップダウンで展開する方針ではありません(あるべきトップは、ある程度発生するノード課題を見越した上で、意思表示を行うことが求められますが…)。問題の上流から下流に至る関係を総合的に検証し、問題の本質を理解・把握した対応が求められます。
貴方は何故何故型自問自答方式のリスクに気づきましたか?

 

解決型の7つのコンセプト

解決型が有する問題解決のための7つのコンセプトを紹介します。

  1. 全体観:課題解決者の全体感の大きさが解決へのアプローチと最適性を決定する(加えて想像力と類推力も必要です)
  2. 自覚と認識:今後の知識や意欲の高さが最適性の追求レベルを決定する(解決者の主体性や価値観・信念といった生き方が反映されます)
  3. ゼロクリア:自らを常にゼロベース(ゼロクリア)にし、ニュートラルで謙虚な状態を保つ(先入観や思い込み・決めつけをなくすことが重要です)
  4. トップダウン思考:全体から部分への展開が本質的な問題解決へのアプローチ(的確にトップを見出し、等価にダウンする把握力・解決力が必須です)
  5. コミュニケーション:問題意識の広さが解決の最適性を左右する(他人と自分の違いを認識し、問題意識の交流が必須になります)
  6. 図式化:図式化することにより検討要素の欠落を防止し、思考の共有から展開に機能する(情報の整理や相互理解に極めて有効です)
  7. 暫定化:物事を早々と確定決定せず、常に状況を考慮した暫定解とみなす(漏れを防ぎ不完全さに対応するために不可欠です)

 

トップはもはや詳細な指示はしない

グローバルマーケット、地球レベルネットワーク、ディープラーニング…、世界はものすごいテンポで進歩しています。現在世界に発生している様々なコンフリクトは、ことを正せば考え方や文化や言語の違いから発生しているとも言えます。島国日本のビジネスマンでさえ、育った環境や教育を受けた環境が異なるばかりか、親兄弟でさえも見方や感じ方考え方は異なります。この差異を認識するために、先ずは相手と自分とは違う考え方や思考を有することを前提としたコミュニケーションが求められます。違いを認識しその違いを踏まえ7つのコンセプトを基に検討すれば、何か全く違ったものが見えてくるのです。
どのような状況に際しても強烈な問題意識を持って自己の役割を創造追求するのです。  与えられるものは僅かに状況の変化と目的のみです。

 

求められる組織へのコーチング

現代のグローバル経済、ボーダレス社会、ダイバーシティの中、一人ひとり、そしてチーム、そのチームが集まる組織に求められるコトは正しくコミュニケーションをすることです。
また、トップになればなるほどその思考範囲は拡大し、意思決定のレベルも高度な内容が求められます。しかしながら、自身の思考の補完を自分自身でできる人はいないと言っても過言ではありません。チームや組織になれば補完が一見可能ですが、何故何故型による思考のリスクは避けられません。

このための思考の補完、そして思考の整理支援を行うのがビジネスコーチです。
単に質問ばかりすれば良いというものではありません。クライアントやチームに何が今足りないのだろうか?どんなところに拘って進めないのか?そこにどの様な意味や意識が存在しているのか?を見極め、その状況に最適な問いかけから気づきを起こさせる必要があります。
化学反応を引き出す「触媒」です。そして見えないものを見える様にし、新たな目的と目標を見定めるための様々な支援を行う「変容を起こさせるコーチ」が、名前はなんであれ今組織やビジネスで早急に求められています。
組織の中には様々な「ジンザイ」がいます。人財→人材→人在→人罪。貴方はどんなジンザイですか?えっ私ですか、私はさしずめ「人剤」でしょうか。

 

貴方はいつから解決型になりますか?

問題を自ら完全にそして最適に解決し、途中過程で(中途半端に)他人に引き渡さないことです。そして自分の状況を謙虚に率直に分析する「解決型人材育成」に待ったはありません。「人材育成」を怠れば即「人災育成」につながります。財も災をももたらすのが人であり、リスクの殆どはこのヒトがもたらす事を是非再認識してください。

永井 郁敏

杉井要一郎


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